【大学教授にインタビュー】金融教育は人生をどう変える? 信頼できる情報の見極め方や金融リテラシーが高い人になる方法を徹底解説

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2022年4月から、日本では高校生を対象に金融教育が義務化されました。
金融教育と聞くと、何やら堅苦しい印象を受けますよね。

しかし、金融教育は、これからの人生でお金のトラブルに巻き込まれないために必要なだけでなく、将来のキャリア形成や人生設計においても役立つ重要な教育といえます。

今回は、国際金融・金融市場を専門に教えている大分大学経済学部の小笠原 悟教授に、若者が金融教育を学ぶメリットや今から金融教育を学ぶ方法信頼できる金融の情報源について話を伺いました。

▼話を聞いたのは小笠原教授!

小笠原教授インタビュー①
目次

金融教育は人の幸せを叶える力がある

小笠原教授インタビュー⑤

ーー小笠原教授は金融教育をどのようなものとお考えですか?

金融教育は、お金やお金に関するさまざまな仕組みを理解して、国民一人一人が生き方や社会について考え、主体的に行動できる態度を養う教育と定義されています。

日常、金融リテラシーという言葉をよく聞くと思います。金融リテラシーは、経済的に自立して、より良い生活を送るために必要なお金の知識や判断力を指す言葉です。

つまり、お金に関する知識や判断力を高めるとともに、一人一人が生き方や社会についてゆとりを持ちながら考え、主体的に行動できるように導くものが金融教育といえるでしょう。

ーーお金の知識や判断力が身に付く以外に、金融教育を受けるメリットはありますか?

金融教育では、お金や経済の仕組みはもちろん、現代社会が抱える課題についても学ぶ機会になります。

金融と経済社会との関係を知ることで、さまざまな社会問題に関心を持ったり、自分も社会に貢献したいという意識が生まれたりするかもしれません。

こうした観点から、学生のうちに金融教育を受けることは将来のキャリア形成を考える上で、とても良い手助けになるでしょう。

ライフスタイルによって資産形成の目的は変わる

小笠原教授インタビュー③

ーー年齢によって、資産形成の目的は変化するものですか?

人生の中には、ライフステージが存在します。そのライフステージごとに、資産形成の目的や手段は異なると理解しておきましょう。

  • どれくらいお金がかかるのか
  • どれくらいお金を貯めれば良いのか
  • そのためにどのような金融商品で運用すればいいのか

上記をきちんと学ぶことで、それぞれのライフステージでより良い計画を立てられるようになります。

皆さんの人生の手助けをするのが、金融教育の本質であると考えています。

教えて小笠原教授! 老後2,000万円問題って結局何だったの?

小笠原教授インタビュー④

老後2,000万円問題は、2019年に金融庁の金融審議会が市場ワーキング・グループの報告書で公表した数値で、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の資金が不足するというものでした。

この数値は、標準的な無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均的な毎月の支出額と、年金などの社会保障給付額の差を30年間で掛け算したものです。
ですが、世帯によって毎月の支出額や年金受給額は違いますよね。

ですので当然、老後に必要な金融資産も異なるでしょう。
「2,000万円も貯めなきゃいけないのか…。」と考えるのではなく、自分の老後のライフプランを考える目安として活用するのがおすすめです。

将来受け取る予定の年金受給額を調べ、平均的な支出額を決めれば、おおよそ老後に必要な金額は比較的簡単にシミュレーションできますよ。

若者が株式を選ぶことは自分のキャリア形成だ

小笠原教授インタビュー②

ーー若い世代の人が金融教育を早期に学ぶメリットをどのようにお考えですか?

若い方が早い段階で金融商品や金融の仕組みを学ぶことで、金融に関する犯罪やトラブルに巻き込まれる恐れが少なくなると思います。

もう1点、学生時代に金融教育を学ぶメリットは、就職活動につながる点です。特に株式投資の学びでは、銘柄を選ぶ場合に、業界や会社を調べる必要があります。

その過程で、

「この会社はこんな面白いことをやっているのか。働いてみたいな!」

「この業界の魅力に気付いた。こんなに色んな会社があるのか!」

など新たな発見に繋がり、投資先を選んでいたはずが、自分のキャリアを考える時間にもなっているわけです。

ーーでは、30〜40代が今から金融教育を学びたいと考えている場合に、おすすめの方法はありますか?

現在学生ではない方が初めて金融教育を学ぶのにおすすめなのは、金融庁や日本銀行のホームページで公開されている教材や動画です。

金融に関して、初心者からある程度学んだことがある人に対して、幅広いレベルの教材が用意されています。
お堅い役所というイメージはありますが、イラストを用いたりアニメの動画もあり、親しみやすい内容となっています。
無料なので活用してみましょう!

書籍やYouTubeなどSNSでもさまざまな情報を得ることは可能ですが、基礎から学びたい人やどの教材がいいのかわからない人は、公的な機関の教材を利用してみるのがいいでしょう。

ある程度基礎が身についてから、自分にあった専門的な教材に進むのがいいと思います。

今から金融教育を学べば金融リテラシーが低い人から高い人へ

小笠原教授インタビュー⑥

ーー資産形成といえば投資だと思いますが、近年YouTubeを含めさまざまな情報が飛び交っています。信頼できる情報はどの点で見極めれば良いのでしょうか?

単刀直入に言えば、一次情報ですね。ちまたの情報に不審な点があったり、判断が難しい場合には、会社や業界が公表する情報がその時点で信頼できるものということになります。

官公庁が公表する経済データや情報を参考にするのもいいでしょう。

働いている方にとって、投資先の一次情報を調べたり、常に追いかけることは時間と労力がかかり大変です。なので、信頼できる経済情報誌や専門家の話を参考にするのも1つの手段です。

その際にも、金融に関する知識があれば、自分の判断で情報の真偽を判断することがある程度可能になると思います。

ーー金融リテラシーが高い人と低い人の差は明確にどの部分だと感じていますか?

金融教育の観点からいえば、金融リテラシーが高い方は、金融教育を一度でも学んだことのある人です。反対に、金融リテラシーが低い方は、一度も金融教育を学んだことがない人が多いのではないかと思います。

実際に、日本銀行が実施した2022年の「金融リテラシー調査」を見ると、金融リテラシーに関する正誤問題の正答率は、金融教育を受けた方と受けていない方で約9%の差がありました。

また、金融教育を受けて正答率が高い人ほど、金融トラブルの経験者の割合が低いという結果になっています。

高校のカリキュラムに金融教育が追加されたことで、若い世代の人たちの金融リテラシーが高まるなか、今後、金融教育を受けていない人との差は広がりそうです。

できるだけ早めに独学でも構わないので、勉強するのがおすすめです。

投資自体が社会貢献になることを伝えたい

小笠原教授インタビュー⑦

ーー最後に、小笠原教授が今後の金融教育について思うことをお聞かせください。

金融教育と聞くと、投資・資産形成のための知識を得るためのものと捉えがちですが、もう少し広い視点から見てほしいですね。

日本をはじめ世界には、気候変動やエネルギー問題、貧困などさまざまな課題があります。こうした課題を解決しつつ、経済成長を促進するには、技術革新やイノベーションを推進することが重要です。

世の中には、積極的に問題解決に取り組み、人々の生活を豊かにしようとしている企業がたくさんあります。

そうした企業を選び、投資するということは、間接的にせよ私たちも課題解決に参加しているということです。

金融教育が、資産形成に必要な金融知識を取得するための一助となるだけでなく、投資された資金が企業の生産や研究開発に利用され、持続可能な経済社会の推進に役立っていることを学ぶ機会にもなればいいと思っています。

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この記事を書いた人

【ポイ活歴】
5年
【自己紹介】
5年前にモッピーを始めたのをきっかけにポイ活やクーポンなどに興味を持ちました!
特にSNSなどで限定キャンペーンを収集して、毎日せっせと登録するのが楽しみです。
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